私選弁護と国選弁護の違い

刑事事件をやっていると、私選弁護と刑事弁護との違いについて、質問を受けることがよくあります。

まず、前提として、刑事事件において、被疑者や被告人のために行動する弁護士を弁護人といいます。弁護人は、テレビドラマでよくあるような無罪を争う場面だけではなく、罪を認めているいわゆる自白事件であっても、不起訴を獲得するために被害者との示談交渉を行なったり、保釈請求をしたり身体拘束の早期解放など刑事事件手続きにおいて被疑者・被告人のために様々な活動を行う重要な役割を担っています。

この弁護人は、「私選弁護人」と「国選弁護人」に分けることができます。

いずれも、弁護人として行う活動に違いはありませんが、その選任過程が異なります。

具体的には、私選弁護人は、被疑者・被告人又はご家族等が、弁護士を弁護人として選任します。

他方で、国選弁護人は、被疑者・被告人等は選任に関与せず、裁判所が弁護人を選びます。この国選弁護人の制度は、貧困その他の事由によって私選弁護人を選任することができない場合に、裁判所が弁護人を選ぶというものです。

そのため、私選弁護人と国選弁護人の選任過程の違いから、以下の違いが生じます。

 

【選任できる時期の違い】

国選弁護人は、基本的には勾留された段階から選任されるため、逮捕勾留されていないときや、逮捕された直後には選任されません。また、一定の犯罪については被疑者段階では国選弁護人が付きません。

そのため、私選弁護人は、国選弁護人よりも早い段階から弁護人を選任できる点がメリットといえます。

 

【私選弁護人は自分で選べる】

国選弁護人は、裁判所の判断で選ばれることになる一方、私選弁護人は、本人やご家族が、依頼する弁護士の弁護方針やコミュニケーションの取りやすさなどを踏まえて、弁護人を自由に決めることができます。

 

【費用の違い】 

国選弁護人の費用については、裁判所が訴訟費用として被疑者や被告人に負担させますが、一般的には私選弁護士の費用より低くなります。また、裁判所は、事案によっては訴訟費用を被疑者や被告人に負担させないこともありますので、結果として弁護人に関する費用を出捐する必要がない場合もあり得ます。

他方で、私選弁護人は、弁護士と委任契約を締結したうえで、この委任契約基づき弁護士費用が発生します。

 

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