短期消滅時効の債権(注意が必要な債権)について

〇 消滅時効について

消滅時効とは、一定の期間の経過により権利の消滅が生じる制度をいいます(世間一般に言われる時効のことと思っていただければ結構です)。

消滅時効が完成して、相手方(債務者)が消滅時効を援用する場合(=時効の利益を受けるということを相手に伝えること)には、その権利が確定的に消滅してしまうことになります。

そこで、債権者としては、債権の時効を完成させないようにすることが重要になってきます。

 

〇 短期消滅時効の債権

一般債権(例えば個人間の金銭の貸借等)の消滅時効期間は10年ですが、債権の管理において特に注意が必要な債権の種類として、短期消滅時効の債権があります。

短期消滅時効に関する規定は、以下のとおり様々なものがあるので、詳しくは弁護士に相談されることをお勧めします。

債権の種類 消滅時効時間
小切手債権、約束手形債権 6か月
時給・日給など月給以下の単位の期間で定めた使用人の給料債権 1年
労力の提供または演劇を業とする者の報酬・供給した物の代価の請求権 1年
運送賃に関する債権 1年
旅館・料理店・飲食店・貸席・娯楽場の宿泊料,飲食料,席料,入場料,消費物の代価または立替金に関する債権 1年
動産の損料 1年
労働者の賃金
(ただし、退職手当は5年)
2年
学芸・技能の教育者の教育・衣食・寄宿に関する債権 2年
居職人・製造人の仕事に関する債権 2年
生産者・卸売または小売商人の売掛代金債権 2年
不法行為に基づく損害賠償請求権 加害者及び損害を知ってから
3年
技師・棟梁・請負人の工事に関する債権 3年 
医師・助産師・薬剤師の医療・助産・調剤に関する債権 3年 
商事債権 5年
年金・恩給・扶助料・地代・利息・賃借料 5年 

 

〇 時効の中断について

時効中断という制度によって、消滅時効の完成を防ぐことができます。

時効中断事由には、以下のものが挙げられます。

① 請求

裁判上の請求、支払督促の申立てなどがあります。

裁判外の請求である催告(内容証明郵便による督促)については、時効の進行を6ヵ月止めることができるだけにすぎず、訴訟提起等をしなければ、当初の消滅時効期間が適用されてしまうので注意が必要です。

 

② 差押え、仮差押え、仮処分

 

③ 承認

相手が債権の一部を支払ったり、支払いの猶予の申し出があった場合等

 

債権に関する消滅時効にはさまざまなものがあるので、法律の知識がない経営者や事業主の方では正確に把握できないケースもあります。また、債権回収に関するトラブルは、時間が経てば経つほど、回収可能性も低くなってしまいます。

債権回収にお悩みの中小企業経営者や個人事業主の方は、お早めにご相談ください。

 

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